海外FXは損益通算できない?確定申告の3つのポイントも徹底解説!

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高レバレッジで海外FXトレードしている中で、どうしても資金不足となったり損失の発生が間逃れないケースがありますよね。

 如何に損失を最小限に抑えるかが重要となるわけですが、もし損失が発生した場合にうまく活用して損益繰越で翌年度につなげたいものです。

ただ、海外FXでは損益繰越が行えないために、確定申告時に少し工夫する必要があります。 

では、海外FXではどのようにして損益通算すればよいのでしょうか?

この記事では、海外FXと損益通算、損益繰越の関連性や、確定申告における3つのポイントについて紹介します。

海外FXで利益が発生したら確定申告が必要?

海外FXで利益が発生したら確定申告が必要?

まず大前提として、海外FXにおいて利益が発生した場合に確定申告の提出が必要なのでしょうか?

確定申告は、得た利益に対して正しく納税するための手続きを指します。 

海外FXの場合、海外口座を開設して取引することになるので、一見すると日本で納税する必要がないと思いがちです。

実際には、海外FXであっても日本で確定申告して納税する必要があります 

ただ、すべての人が海外FXを利用しているからと言って納税しなければならないわけではありません。 

ここでは、海外FXで利益に対してどのように納税するのかについて解説します。

海外FXで確定申告する必要がある人の判断基準

海外FXに限らず、様々な投資活動や事業運用などで得られた利益に対して、確定申告を行った上で納税する必要があります。 

ただ、利益が出ているからと言って納税しなければならないわけではありません。

海外FXで確定申告しなければならない人の判断基準としては、一定の利益がある方のみが行う必要があるのです。

実は、サラリーマンなどの企業に雇用されて収入を得て、副業で海外FX取引している給与所得者と、特に雇用されておらず海外FXなどを本業としている非給与所得者別で、確定申告する基準が異なります。

具体的には、比較すると以下のような基準の違いがあるのが特徴です。

会社員などの給与所得者 年間利益が20万円を超えた場合
非給与所得者 年間利益が38万円を超えた場合

 海外FXで得られた利益については、「先物取引に係る雑所得等」と呼ばれる所得区分によって分類されることになります。 

雑所得とは、主に以下のような収入のことを指しているのです。

・利子所得

・配当所得

・不動産所得

・事業所得

・給与所得

・退職所得

・山林所得

具体例を挙げると、以下があります。

・公的年金等

・非営業用貸金の利子

・副業に係る所得

その中でも、先物取引に係る雑所得等という区分になっているのが特徴的です。 

他の副業を行っていれば、それも含めて雑所得の合計が20万円または38万円を超えた場合、確定申告が必要となります。

但し、以下の項目に当てはまる人は、海外FXの利益に関わらず確定申告が必要となる場合があるので注意してください。

・個人事業主

・給与の収入金額が2,000万円超の場合

・給与を2か所以上から受けている場合

確定申告が難しいと感じたら、信頼できる税理士に依頼しましょう。

国内FX業者と海外FX業者を利用する際に適用される税制の区分は?

海外FXではなく、国内FXを取引するケースがありますが、実は国内FX業者と海外FX業者を利用する際に適用される税制が異なります。

具体的な違いを一覧でまとめると、以下のようになります。

項目 海外FX 国内FX
所得区分

雑所得

先物取引に係る雑所得等

税区分

総合課税

申告分離課税

税率

累進課税
(最大55%)

一律20%

損益の相殺(損益通算)

「雑所得、総合課税方式」に分類される項目

「先物取引に係る雑所得等」に分類される項目

損失繰越

不可

3年分の損失繰越が可能

最も大きな違いとして国内FXでは申告分離課税が適用されるのに対して、海外FXにおいては総合課税によって納税しなければならない点にあります。

一般論として、所得税については各種の所得金額を合計し総所得金額を算出して、これに対して税額を計算して確定申告時に税金を納める総合課税が原則です。

ただ、一定の所得に対しては、他の所得金額と合計することなく分離して税額を計算して、確定申告によりその税額を納めることとなり、これが申告分離課税となります。

一方で、海外FXにおいて適用されている総合課税とは、他の所得と合算した課税所得に対して、所得税の税率をかけて所得税額を算出する課税方式であり、確定申告が必須です。

税率については、申告分離課税の対象所得が多いほど高くなる累進課税方式となり、多くの利益が出ると税率がアップします。

海外FXに対しての税金については、以下記事で詳しく解説しています。

海外FXの税金を徹底解説!確定申告や計算方法、税率を詳しく解説!

そもそも損益通算とは?

海外FXで利益が発生したら確定申告が必要?

海外FXに関する確定申告や税金の仕組みが理解できたところで、そもそも損益通算とはどのようなものであるのかを正しく理解する必要があります。

損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することを指しているのです。 

例えば、一般的に投資を行って得られた利益として、譲渡益や配当などが発生した場合には、税金がかかります。

一方で、どうしても発生しがちな損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができるのです。

 もし、発生した損失を差し引きした上でもマイナスとなった場合に、確定申告を行うことで最長3年間損失を繰り越して控除することができます。

単年で確定申告が必要な利益があったとしても、前年から繰り越した損失を計上して納税額を減らすことも可能です。

複数の口座がある場合は、損益通算や内部通算する必要がある

海外FXでは、業者によって取引条件が大きく異なり、また各種キャンペーンなどを利用したい場合に口座を使い分けている方も多いのではないでしょうか? 

複数口座を保有しているケースでは、それぞれの口座別で得た利益に対して、損益通算や内部通算しなければならないケースがあります。 

内部通算とは、損益通算と基本的に似た考え方であり、損失が出た所得があった場合に税金の計算において他の所得から損失分を差し引ける制度となります。

ただ、損益通算と内部通算は以下のように適用条件に微妙に違うので注しましょう。

損益通算 事業所得など限られた所得で損失が発生したケースのみで、一定の順序で他の所得から損失分を相殺可能
内部通算 同じ種類の所得同士で損益を相殺可能

 雑所得同士の損益の相殺が内部通算で、事業所得などの赤字を給与所得と相殺することを損益通算ということになります。

ここでは、さまざまなケース別に損益通算の可否や実施方法について解説していきます。

海外FX業者と国内FX業者の場合

海外FXでの損益が雑所得となるのに対して、国内FXの損益は先物取引に係る雑所得等に分類されます。

よって、海外FXと国内FXの損益はそれぞれ別テーブルで計算しなければなりない関係上、海外FXの利益を国内FXの損失と損益通算や内部通算することは不可能です。

また、雑所得も先物取引に係る雑所得等についても、損益通算の対象となる所得の扱いとはなりませんので注意しましょう。 

海外FX業者同士で取引している場合

海外FX業者の口座で得た複数口座の損益は同じ所得の種類に分類されることもあって、内部通算の形で損益を通算できます。

もちろん、複数の業者間で取引している場合であっても、問題なく損益通算が可能なのです。 

ここで注意したいのは、雑所得については海外FXの利益だけが計上されるものではない点が挙げられます。

もし、次に取り上げるような利益があった場合には、海外FXの損益と内部通算して雑所得の金額を計算しなければなりません。

・暗号資産への投資による利益

・アフィリエイト収入

・インターネット販売

海外FXの確定申告で覚えておくべき3つのポイント

海外FXの確定申告で覚えておくべき3つのポイント

海外FXで確定申告を行う場合、注意すべきポイントがあります。

注意点をしっかりと把握して、正しく確定申告を行う必要がありますので、ぜひ覚えておきましょう。

1.海外FXは損失繰越が利用できない

2.国内FXと海外FXは損益通算できない

3.出金できないボーナスは課税対象外

では、具体的に覚えておくべき3つのポイントについて解説します。 

1.海外FXは損失繰越が利用できない

海外FX口座では、内部通算の形で損益を通算することが可能です。

ただ、注意したいのは個人で海外FX業者を利用する場合は総合課税の雑所得で損失繰越ができない点です。

例えば、国内FX口座を利用して2021年に200万円の損失を出した場合、利益は発生しないために納税額は0円ということになります。

翌年、2022年には200万円の利益が出た場合は、利益200万円は課税対象となるのに対して、前年度の損失である200万円を損失繰越可能です。

すると、2年間で差し引きゼロとなるので、納税は不要という形になります。

このように、国内FXで損失が出たときは翌年以降に節税が可能ですが、海外FXの場合は損失繰越の控除が適用外なので繰越による節税は期待できないために注意してください。

2.国内FXと海外FXは損益通算できない

海外FXで損益通算できないと同時に、国内FXとの損益の相殺はできません

これは、海外FXは総合課税となりますが、国内FXは申告分離課税となるために税区分が異なるためです。

もし片方で利益があって、もう片方で損失が発生していたとしても、利益が出た方の利益分全額が課税対象となるので要注意です。

海外FXで損益通算が一部可能であり、その方法とは海外FXと同じ税区分である雑所得の総合課税方式に分類される項目のケースのみとなります。

これによって、海外FX業者同士の損益も相殺も可能となりますよ。

例えば、以下のようなケースでは損益通算が可能です。

暗号資産取引

-150万円

インターネット販売

+10万円

アフィリエイト収入 

+50万円

海外FX収入

+260万円

上記例では、利益が320万円に対して、損失が150万円あるので、差し引き170万円が納税対象となります。

3.出金できないボーナスは課税対象外

海外FXでは、口座開設時や入金時にボーナスが付与されることがあります。

例えば、入金額の100%分がボーナスが付与されて、それを取引時に利用可能です。

このボーナスは、海外FX業者内のみで利用することが可能で、直接出金できません

また、このボーナスの取り扱いが気になるところですが、取引にボーナスとして利用する場合は課税対象にはならないのです。

ただ、もしキャッシュバックのように出金可能なボーナスが付与された場合は、課税対象となるので注意してください。

複数口座を所有する人の確定申告手順

海外FX取引されているトレーダーの中には、複数口座により運用されているケースも多く見られます。

単一口座で運用する場合と違い、複数口座で運用している場合は、少し確定申告の方法が面倒になりがちです。

そこでここでは、複数口座を保有する人の確定申告手順を詳しく解説します。

1.すべての口座で年間取引報告書を作成する

まずはじめに、保有しているすべての海外FX口座別で、年間取引報告書を作成してください

ここで注意したいのは、すべての口座のトータル金額ではなく、あくまでも各口座別の収支を明確にするという点です。

この振り返りによって、全体ではプラス収支であってもどの口座で収支が悪いのかを把握できます。

また、海外FX業者で法定通貨以外で暗号資産の取引をおこなっているケースでは、合わせて収支計算してください。

2.内部通算の要否を判断する

海外FX業者の口座で得た複数口座の損益は同じ所得の種類であるために、内部通算の形で損益を通算可能です。

例えば、A口座で大きなプラス収支となっており、B口座でA口座を上回るマイナスを計上している場合、内部通算によって収支はマイナスという形となります。

もし、A口座でのみ見ると確定申告の必要があっても、内部通算すれば必要となるケースもあるのでしっかりと確認してください。

また、雑収入という科目でアフィリエイト収入や暗号資産取引の収入も内部通算する必要があります

3.確定申告書の作成

事前準備が完了したら、確定申告書の作成をおこないます。

今回は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を用いた場合の確定申告書の入力項目について解説します。

科目:「その他」を選び、入力欄に「証拠金取引」または「為替取引」を入力する

業務に該当しますか:「いいえ」を選択す

収入金額:海外FXなどで得た利益を入力する

必要経費:FX取引する上で必要となる書籍やセミナー参加費用などがあれば、その金額を入力する

源泉徴収税額:海外FXでは源泉徴収されることはないため「0」と記入

所得の生ずる場所:海外FX業者の本社住所を入力する

報酬などの支払者の氏名・名称:海外FX業者の社名を入力する

すべての入力が完了して、各会社の合計金額に誤りがないことを確認して完了させます。

4.確定申告の完了

確定申告書の作成が完了したら、各種税金の支払いをおこないます。

なお、クレジットカードでも納税できますが、経費扱いにはできない点には注意が必要です。

以上で、複数口座を所有する人の確定申告手順の解説を終了します。

まとめ

海外FXを利用する上でも、使い方次第では内部通算できるなどのケースがあります。

また、国内FXの口座と使い分けているケースでも同様で、損益通算をうまく活用することで節税につなげることが可能です。

まずは、損益通算のルールを正しく理解してください。

その上で、しっかりと損益通算を行なって賢く納税しましょう。