海外FXと国内FXを併用するポイントを税金面から注意点まで徹底解説!

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海外FXと国内FXを併用するためには、税金面や注意点となるポイントを押さえておくことで、お得な節税効果が狙えます。

人によっては国内FXをしている状況からの併用であったり、海外FXからの併用であったりさまざまなシーンが想定されるでしょう。

ただ、どちらの取引から併用への切り替えを検討したとしても、税金面など気になることは多々出てくるものです。

「海外FXと国内FXの併用で収益を一緒にしていいの?」

「税金がどうなるのか知りたい」

この記事では、海外FXと国内FXの併用を検討する上で押さえておくためのポイントを税金面から注意点まで紹介しています。

記事を一読すれば、海外FXと国内FXの併用のポイントが理解できるようになり、併用してもお得な節税が可能となるでしょう。

海外FXと国内FXを併用していく上での参考にしてみてください。

海外FXと国内FXを併用した際の税金

まずは、海外FXと国内FXを併用した際にそれぞれの収益に課税される税金について解説していきます。

海外FXで得た収益と国内FXで得た収益は、収益に対して課税される税率がそれぞれ異なっています。

なぜかというと、収益に課税される税収制度に違いがあるためです。

課税対象となるFXの収益の所得区分から考えてみましょう。

FXの所得は10種類ある所得区分のうち、他の9種類に該当しない場合に分類される雑所得に該当します。

ここまでの分類は海外FXも国内FXの収益も同様となりますが、雑所得の中の区分によって分類に違いが出てくるわけです。

雑所得の区分は大枠として、iDeCoや国民年金などの「公的年金等」、アフィリエイトなどの「業務」、それ以外の「その他」の3区分に分類されています。

さらに、これらの区分に該当しない雑所得として「先物取引に関する雑所得」があります。

以上の雑所得の区分に海外FXと国内FXの収益を反映させると、海外FXは「その他」、国内FXは「先物取引に関する雑所得」に含まれることになります。

この雑所得区分の「その他」と「先物取引に関する雑所得」の税収制度に違いが発生することになるのです。

それぞれの収益にかかる税収制度は、以下のとおりです。

海外FXの収益

国内FXの収益

雑所得区分

その他

先物取引に関する雑所得

税収制度

総合課税

申告分離課税

税率

総所得により変動

一律20.315%

2つの税率は、総所得により変動と一律20.315%で異なっています。

また、税率が異なっているという点の他にも特徴や制度上の制約なども存在します。

そこで、次項から海外FXと国内FXの収益にかかる総合課税と申告分離課税について詳しく見ていきましょう。

海外FXの税収制度

海外FXの収益にかかる税収制度である総合課税について解説します。

総合課税の税率は累進課税によって課税所得の金額に応じてそれぞれ定められています。

海外FXの収益は総合課税のもと、雑所得以外の所得と合わせた総所得として計算されるわけです。

そのため、FXの収益によって総所得が変わり、課税所得に対して課せられる税率が左右されるといえるでしょう。

海外FXの収益の特徴として、損益計算の制限と損失繰越ができない点があげられます。

損益計算に制限を受けるというのは、国内FXの損益と差し引きできないということです。

損益計算とは?

損益計算とは1年間の収益を、損失と利益を差し引きして計算することをいいます。

なお、差し引きできるのは総合課税が適用される雑所得となります。

海外FXの収益が損益計算できるのは、同じ雑所得の中の総合課税が該当する範囲に限られるというわけです。

先ほどの例でいうと、アフィリエイトの「業務」で得た収益と損益計算ができるといえるでしょう。

また、あわせて海外FXでは損失繰越ができないということも押さえておきましょう。

損失繰越とは?

1年間での収益に損失が出た場合、その損失を翌年以降に繰越して翌年以降の収益から差し引きできる仕組みをいいます。

なお、その年の損失は翌年から3年間の繰越が可能です。

1年間で損失が出たとしても、損失繰越を活用すれば翌年以降の収益にかかる税金を減らす効果が得られ、節税につながるでしょう。

国内FXの税収制度

国内FXの収益にかかる申告分離課税について説明していきます。

申告分離課税では収益を所得に合算して課税する総合課税とは違い、FXで得た収益は他の所得とは別に課税されます。

収益に対する税率は所得税が15%、住民税として5%、復興特別所得税の0.315%を全て合算して一律20.315%の割合となっています。

申告分離課税が適用される「先物取引に係る雑所得」には先物に関するCFD取引があり、国内FXの収益との損益計算が可能です。

ちなみに株式で得た収益は、そもそも雑所得ではなく配当所得に分類されるため国内FXの収益との損益計算はできません。

また、申告分離課税の特徴として損失繰越ができるという点があげられるでしょう。

このことから、年間の国内FXの収益において損失が出た場合でも、翌年以降に損失繰越ができるというわけです。

復興特別所得税とは?

東日本大震災への復興支援のために平成25年から徴収が始まった特別徴収税のことです。

税率は所得税の2.1%となっており、申告分離課税の国内FXの収益では課税される15%の所得税の2.1%である0.315%が復興特別所得税として別に徴収されます。

併用に必要なそれぞれの特徴

海外FXと国内FXを併用していくには、それぞれの特徴を押さえておく必要があります。

そこで、簡単に海外FXと国内FXの特徴を比べてみましょう。

まず、違いの背景にもなっている大枠の特徴として、日本の金融庁の金融ライセンスを取得しているかがあげられます。

国内FX業者は日本の金融ライセンスを取得していますが、海外FX業者は取得していない点を押さえておきましょう。

これによって、海外FXと国内FXとの間にレバレッジやゼロカットなどの大きな違いが発生しているというわけです。

では海外FXと国内FXの特徴の違いを簡単にみていきましょう。

項目

海外FX

国内FX

レバレッジ水準

無制限

25倍まで

ボーナス提供

不可

入出金

手数料あり

無料(時間帯による)

信託保全

業者による

あり

スプレッド

変動

固定

取引方式

NDD方式

DD方式

ゼロカット

海外FXと国内FXのサービス提供の違いは、金融庁からの取引における制限を受けるか受けないかで変わってきます。

いわゆる日本の金融ライセンスの取得有無です。

これらの特徴を踏まえた上で、双方の良い面と悪い面をカバーしていくようなイメージで海外FXと国内FXを併用していくと良いでしょう。

海外FXと国内FXの違いを詳しく知りたいという方は以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。

海外FXと国内FXを徹底比較!初心者は5つの違いを見ればOK!

海外FXと国内FXの併用による利点

海外FXと国内FXの特徴を押さえたところで、併用による利点を見ていきましょう。

併用の利点としては、以下の項目があげられます。

・取引手数料の低減

・節税効果がある

・双方の強みを活かした取引が可能

・分割での資産運用が可能

1つずつ解説します。

取引手数料の低減

まず紹介する併用の利点は、取引方式によるスプレッド(取引手数料)の違いを利用した取引手数料の低減です。

国内FXのスプレッドは取引方式がDD方式のため、独自に狭い基準で設定できます。

一方、海外FXのスプレッドはNDD方式の性質上、国内FXと比べるとどうしても広くなってしまうというわけです。

しかし、この例はあくまでも主要通貨の取引での話で、マイナー通貨などは海外FXの方が狭いスプレッドで取引できる場合や、海外FXでも銘柄によっては国内FXに引けをとらないスプレッドを提供している業者もいます。

取引する海外FX業者や対象通貨により国内FXとのスプレッドの違いを活用することで、取引手数料を減らすことが可能といえるでしょう。

節税効果がある

海外FXと国内FXを併用することで、どちらの収益も節税効果を狙った資金運用が可能です。

そこで、海外FXと国内FXの収益にどのような節税効果があるか解説していきます。

海外FX

海外FXの収益で節税効果を狙うには、総合課税の特性を利用します。

総合課税制は総所得から課税所得を算出し、課税所得の金額によって税率が決まる仕組みとなっています。

そのため、海外FXの収益によって総所得を調整することができるというわけです。

例えば、課税所得の税率が10%と20%の境界となっている金額は330万円となっており、330万円を下回ると10%、超えると20%の税率が課せられます。

海外FXの収益を合算した総所得が、この基準を超えそうになったところで収益を留めておけば、10%の課税に抑えることができるでしょう。

海外FXの取引を手仕舞ったあとは、総所得に加算されない国内FXで収益を出していくだけです。

国内FX

国内FXの収益での節税には、損失繰越を利用しましょう。

損失繰越は、むこう3年間利用できます。

万が一、国内FXで損失を出してしまっても、翌年以降の収益から損失分を差し引くことで十分に節税効果が狙えるというわけです。

国内FXにより年間の損失を大きく出したときは、翌年以降、海外FXを控えて国内FXに軸足をシフトしていくことで損失繰越による節税効果も高まるでしょう。

双方の強みを活かした取引が可能

海外FXと国内FXの特徴の違いにあった双方の良い点を取引に活かせるのも利点といえます。

自分の得意とするチャートパターンや自信がある状況で勝負したいときは、レバレッジが高い海外FXを使うことで大きな収益を狙えます。

一方、国内FXでの低レバレッジは手堅く勝負したいときに利用することで、リスク低減につながるでしょう。

また、長期でポジションを保有するときなどは海外FXで採用されているゼロカットを利用するのもおすすめです。

ポジションを長く持つということは、資金を相場の急変リスクにさらし続けている状態です。

国内FXはゼロカットを採用できないため、急変時の損失は追証という形で請求を受けてしまいます。

急変によるリスク回避の手段にゼロカットを活用することで急変時でも追証されることがなくなるでしょう。

追証やゼロカットに関する内容は以下の記事で解説していますので、興味のある方はぜひ一読してみてください。

海外FXは追証なしでおすすめ?ゼロカットのメリットや安全性を徹底解説!

分割での資産運用

海外FXと国内FXの口座を分割して資産運用することで、よりお得で効率のよい資産運用が可能となるでしょう。

海外FXでは口座開設や入金を対象にボーナスを提供している場合が多くあります。

口座を分割して資産運用しておくことで、海外FXでボーナスを獲得していく上でも資産管理上大いに役立ちます。

また、海外FXと国内FXの口座を分割しておくことで、収益計算も容易になり申告の手間を効率化できるでしょう。

海外FXと国内FXの併用による欠点

海外FXと国内FXの併用には利点だけではなく収益面において欠点となることもあります。

以下の2点をそれぞれ解説していきます。

・2つの収益の損益計算

・2つの損失繰越

2つの収益の損益計算

海外FXの収益と国内FXの収益は所得区分の雑所得に該当するため、各々の収益は損益計算ができるということを説明しました。

よく考えてしまいがちなのが、海外FXの収益と国内FXの収益同士を損益計算させようとすることです。

たしかにお互いの収益を損益計算できれば助かりますが、税収区分自体が異なる2つの収益同士の損益計算はできません。

海外FXの収益は雑所得の総合課税となる所得、国内FXの収益は「先物取引に係る雑所得」に該当する所得の範囲内でしか損益計算ができないことを押さえておきましょう。

 2つの収益の損失繰越

損益計算と同じように所得区分の性質上、2つの収益の損失繰越もできないようになっています。

そもそも、海外FXの収益は総合課税のため、収益自体に損失繰越ができない点を押さえておくと覚えやすいでしょう。

2つの収益の税収区分から、損失繰越は国内FX業者の収益のみに取り入れていく仕組みといえます。

したがって、損失繰越は国内FXの収益のみで利用していくことになります。

海外FXと国内FXの併用で気を付ける点

ここまで、海外FXと国内FXの併用の特徴などを紹介してきました。

本項では、併用をしていく上で気を付ける点を以下のとおり解説していきます。

・税制の違いを考慮

・海外FXは決済に注意

税制の違いを考慮

海外FXと国内FXの収益における根本的な違いは税制の違いということでした。

税制の違いにより収益の金額で課税される状況が大きく変動します。

このため、併用の場合は2つの税率とFX以外の所得額との関係に、より一層気を付ける必要があるというわけです。

特にFXでの収益が大きくなってくると海外FXの収益に課税される税率が高くなってきます。

海外FXでの収益が国内FXの申告分離制と同等の税率基準が適用される課税所得の範囲は課税所得が900万円を超えない水準に定められています。

総所得に20%以上の税率がかかるのが惜しい場合は、20%水準を超えないうちに国内FXに切り替えるなどして収益をシビアに使い分けいきましょう。

海外FXは決済に注意

国内FXと海外FXを併用している場合、海外FXでの決済タイミングにも気を付ける必要があります。

なぜかというと、海外FXの収益には損失繰越ができないからです。

基本的に個人でのFXの損益にかかる申告にはポジション保有中の損益は含まれておらず、決済した後に損益が計上されます。

海外FXでは年末期など年間損失が確定しそうなタイミングでは、あえて損失分を決済しないで年を越してから決済するようにします。

そうすれば、前年分の損失を翌年の損益として計上できるため、損失繰越ができない欠点をカバーできるでしょう。

実質的に翌年へ損失繰越している状態となるわけです。

また、年を跨ぐことで、年末年始の相場変動により損失がプラスに転じるか減る可能性も十分に考えられます。

海外FX決済タイミングは併用していく上で気を付けておく点といえるでしょう。

海外FXと国内FXの併用のコツ

ここからは、海外FXと国内FXの併用のコツを紹介していきます。

併用のコツは以下の2つです。

・経費の有効活用

・収益の調整

1つずつ見ていきましょう。

経費の有効利用

はじめに紹介する併用のコツは経費の有効利用です。

海外と国内を併用していく場合、国内FXでの収益はマイナンバー登録によって金融庁に全て把握されています。

そこで、海外FXは国内FXと違い収益がバレていないと思って金額を操作するのは、節税対策としては得策ではありません。

海外FXの収益であっても適正な節税対策を講じておく必要があります。

そのために、国内FXと同様に経費を有効に活用していきましょう。

それぞれの収益の大きさに合わせて経費配分を調整することで効果的な節税効果が狙えるでしょう。

海外FXで経費を有効に活用したい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

海外FXの必要経費10選!スプレッドや取引手数料は経費計上不可?

収益の調整

2つ目の併用のコツは海外FXにおける収益の調整です。

併用において気を付けるポイントで紹介した海外FXの収益を他の所得との関係性で調整することは、海外FXと国内FXを併用していく際のコツであり重要なポイントといえるでしょう。

自分の所得を把握しながら収益を調整していくと、FXの取引に必要な資金管理能力も育まれるため、労を惜しまず取り入れることをおすすめします。

まとめ

ここまで、海外FXと国内FXを併用するポイントを税金面から注意点まで詳しく解説しました。

海外FXと国内FXを併用していくには、それぞれの特徴をしっかりと把握し、状況に合わせて有効に利用していくことが大切です。

どちらも一長一短あり、自分が取引したいシーンによって使い分けてみると、上手く併用できるようになります。

そうすれば、FXの取引がこれまで以上に楽しいものへと変わっていくでしょう。

併用を検討している場合は、記事で紹介した税金面や取引の特徴、注意点などをぜひ参考にしてみてください。