海外FXでマイナスが出たときの確定申告を徹底解説!

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海外FXで収支がマイナスになり、「確定申告はどうすればいいんだろう?」「来年以降に損失を繰り越せるのかな?」「何とか節税できないかな?」といった悩みをもつトレーダーも多いのではないでしょうか?

海外FXの確定申告は国内FXと異なるルールで対応する必要があります。

そこで今回は、海外FXで損失が出たときの確定申告について、申告の必要性、申告時の手続き、メリットと注意点、どうすれば節税できるかについて説明します。

最後までお読みいただき、ぜひ参考にしてください。

海外FXの収益と確定申告

ゼロカット

海外FXでの利益について、海外の口座だから日本の確定申告は関係ないと思われる人もいるかもしれませんがそうではありません。

税法上、日本国内に居住している人(居住者)については、国外で得られた所得についても確定申告をする必要があります。海外FXの利益の確定申告を怠ると、意図的かどうかを問わず、脱税となります。

脱税で摘発されると最悪の場合、刑事罰を受け、多額の追徴課税を課せられる可能性があります。
海外FXの利益に対する確定申告についても理解し納税義務を怠ることがないようにしましょう。

海外FXの収益の確定申告概要

海外FXと国内FX では税務上の区分と課税方式が異なります。

概要は、以下となります。

海外FX 国内FX
区分 その他の雑所得 先物取引に係る雑所得
課税方式 総合課税 申告分離課税
課税内容 すべての所得を合算し、
その総額に対して税額を計算
所得給与など他の所得と合算せず、
分離して税額を計算
税率 7段階の累進課税 (5%〜45%)
住民税も一律10%賦課
一律20%
(所得税15%+住民税5%)

総合課税は、すべての所得を合算して課税率を算出するため、会社員の場合、給与所得と海外FXの所得を合算して課税率を算出する必要があります。

通常、会社では副業の課税率算出は行わないため、個人で確定申告を行う必要があります。

会社員が海外FXであげた収益の確定申告の詳細については以下の記事を参照ください。

海外FXの税金は会社にバレる?バレる原因とバレない方法を徹底解説!

海外FXでマイナスがでたときの確定申告

確定申告

海外FXでマイナスが発生した場合の確定申告について、「損失が出たんだから確定申告はいらないでしょう」と考えがちです。

しかし、海外FXは総合課税方式をとり、マイナスを申告することで課税対象額を減らすこともできるため、総合的にどう対応するか考えることが大事です。

確定申告がいらない場合

確定申告は、副業によるFXによる所得が20万円未満、個人事業主や専業主婦(主夫)の場合は、48万円未満であれば必要ありません。

そのため海外FXで年間所得がマイナスの場合、確定申告は不要となります。

確定申告が必要な場合

海外FX以外の雑所得に利益があり、海外FXで出たマイナス分と経費を計上(内部通算)して年間所得が48万円以上であれば、確定申告が必要となります。

総合課税における雑所得の区分と具体例

総合課税における「雑所得」には「公的年金等」「業務」「その他」の三区分があり、具体例は以下となります。

【雑所得の区分と具体例】

区分 公的年金等 業務(副業収入) その他
具体例

・国民年金
・厚生年金
・iDeCo(年金)
・確定拠出年金(企業型DC)
・確定給付企業年金
・過去の勤務先の退職年金

・ネットショップでの収入(物販および転売)
・アフィリエイト収入
・ネットせどり収入
・海外FX
・生命保険の年金
・暗号資産(仮想通貨)
・動産の貸し付け

すでに述べましたように、国内FXは「先物取引に係る雑所得」に区分され申告分離課税方式で処理されるため、海外FXのマイナスと合算して計算することはできません。

海外FXでマイナスで確定申告した場合の注意点

注意

海外FXと国内FX では税務上の区分と課税方式が異なります。

そのため、国内FXの確定申告と異なるルールで申告するため注意する点があります。

大きな注意点は以下となります。

繰越損失控除の適用ができない

繰越損失とは

本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度

税務上、国内FXは繰越損失控除を適用できますが、海外FXは適用できません。

そのため、海外FXで発生したマイナスは発生した年度に、下記で説明する内部通算に適用するか、確定申告しないかのいずれかとなります。

国内FXでの収益との内部通算ができない

内部通算とは

同じ課税方式の同じ区分内、(FXの場合であれば「雑所得」)の利益と損失を差し引きして所得額を計算する制度です。

すでに説明したように国内FXと海外FX では税務上の課税方式が異なります。

そのため、国内FXと海外FX の間で内部通算をすることはできません。

概要は以下の通りです。

【内部通算まとめ】

海外FX 国内FX

課税方式

総合課税 申告分離課税
内部通算

「総合課税の雑所得」→〇(可能)
「申告分離課税の雑所得」→×(不可)

「総合課税の雑所得」→×(不可)
「申告分離課税の雑所得」→〇(可能)

具体例

海外FX、仮想通貨損益、公的年金、
原稿料、講演料、アフィリエイト収入、ネットオークション売上等

国内FX、先物取引、オプション取引
(株式の損益とは、損益通算できない)

海外FXでのマイナスを利用した節税対策

【最新】海外FXの節税対策まとめの画像

海外FXは国内FXと異なり税制上の優遇措置はほとんどありません。

しかし、何もしなければ多額の税金を払うことになります。

そこで必要経費の申告、内部通算、含み益・含み損をコントロールするといったことで合法的に節税をすることができます。

以下、海外FXでのマイナスを利用した節税方法を紹介しましょう。

必要経費を申告する

節税のためにまず取り組むことは、できるだけ必要経費を申告することです。

海外FXでは、トレーディングで利益を上げるために使った費用は必要経費として申告が可能です。

ただし、申告がみとめられるかどうかは「事業に関連があるか」「売上に寄与しているか」を基準に税務署が判断します。

必要経費として認められる可能性の高いものは以下があります。

【必要経費として申告しやすい費用】

品目 備考
パソコン購入代金 購入代金が15万円以上は、3年間で減価償却で申告
(例) 購入代金30万円の場合、年10万円で3年間申告
インターネットプロバイダー料金 私用と共用の場合はFX取引との利用割合の説明が必要
レンタルサーバー料金 ブログ等と共用の場合はFX取引との利用割合の説明が必要
EAやインジケーターの購入費用 全額を必要経費として認められる可能性が高い
専門書籍購入代金

FXマーケットの情報配信やニュース配信・メルマガも申告が認められる可能性が高い

セミナー費用・交通費 セミナーテキスト代も申告可
家賃や光熱費 自宅の一室を海外FX取引のために使用している場合は、
トレーディングに使用している部屋面積で按分して申告

レシートや領収書は確定申告の際に提出する必要はありませんが、白色申告で5年間、青色申告で7年間の保管義務があるため、紛失しないように注意しましょう。

所得控除を申告する

所得控除は15種類あり、1年間の総所得から必要経費を差し引いた残りから、所得控除を差し引いたものが課税額となります。

【主な所得控除】

控除 備考
基礎控除 控除額48万円
配偶者控除 所得額900万円以下:控除額38万円
所得額900万円~950万円:控除額26万円
所得額950万円~1000万円:所得額13万円
扶養控除 一般扶養38万円、同居老親58万円、特定扶養63万円
医療費控除 所定の計算式で算出した額(最高200万円)
社会保険料控除

その年に実際に支払った金額または
給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額

生命保険料控除 最高控除額12万円
地震保険料控除 最高控除額5万円

所得控除の詳細については国税庁のサイトを参照ください。

参照 国税庁 No.1100 所得控除のあらまし

内部通算で副業や他の海外FX業者の損益と相殺する

内部通算とは、同一の所得内での利益と損失を通算することをいいます。

海外FXの場合、「総合課税における雑所得」に区分されるので雑所得内の利益と損失を内部通算により算出することができます。

【内部通算の具体例】

例1 
給与所得 500万円の収入  
雑所得(海外FX A社)500万円の収益
(給与所得)500万円+(雑所得)500万円=1000万円(課税額)

例2 
給与所得 500万円の収入
雑所得(海外FX A社)500万円の収益
雑所得(海外FX B社)500万円の損失
(A社)500万円ー(B社)500万円=0円(雑所得内部通算後課税額)
(給与所得)500万円+(雑所得)0円=500万円(課税額)

例3 
給与所得 500万円の収入
雑所得(海外FX A社)500万円の収益
雑所得(海外FX B社)600万円の損失
(A社)500万円ー(B社)600万円=マイナス100万円(雑所得内部通算後課税額)
(給与所得)500万円+(雑所得)マイナス100万円=500万円(課税額)

「雑所得」マイナス100万円は「給与所得」500万円と損益通算できないため課税額は500万円となります。

内部通算できる具体的な品目については「総合課税における雑所得の区分と具体例」を参照ください。

含み益を確定しない

海外FXの確定申告は現金が雑所得として課税対象となります。

含み益は利益確定されて現金になっていないため、課税対象とはなりません。

たとえば、100万円の含み益があった場合、確定すると所得税と住民税で20.21%の課税となり、課税額は約20万円となります。しかし、含み益のままなら課税額は0円です。

年末に含み益を抱えている場合、年が変わってからの利益確定をすることにより、合法的に過少申告をすることができます。

含み損を確定させる

年末に含み損がある場合、確定させて利益を減らすことで課税額を抑えることができます。

たとえば、100万円の確定利益があり、現在、100万円の含み損をかかえている場合、確定させると確定利益と相殺で利益は0円となり申告の必要がなくなります。

含み損を確定させることで税率を下げることができる場合、積極的に活用することをおすすめします。

ボーナスの損失額は計上できるのか?

多くの海外FX業者で新規口座開設者や継続利用者向けのサービスとして、現金として引き出すことができないトレード専用の資金をボーナスとして提供しています。

ロスカットにより証拠金を全額失った場合、入金時や取引時に得たボーナスを損失額として計上できると説明するサイトが時々、見受けられます。

海外FXボーナスの多くは、出金不可で証拠金としてのみ使える架空のお金です。課税対象となるのは現金のため、現金として付与されないボーナスは確定申告の対象とはならないと考えられます。

例えば、入金で100%ボーナスの場合、100万円入金するとボーナスは100万円で、資金は200万円です。もし、200万円を全額失った場合でも損失として申告できるのは入金分100万円だけです。

ただし、ボーナスの損失額の計上について、一部の税理士は可能との見解を示していて、意見が分かれるため、直接または税理士を通じて税務当局に照会することをおすすめします。

まとめ

海外FXでマイナスが出たときの確定申告について、申告の必要性、申告時の手続き、メリットと注意点、どうすれば節税できるかについて説明してきました。

海外FXは総合課税の雑所得に区分されるため国内FXとの損益通算はできません。

しかし、総合課税の雑所得間の内部通算や必要経費の申告または含み益、含み損の確定をコントロールすることで課税額を圧縮することができます。

確定申告の際は、これらのことを念頭に入れて申告することで大きく節税ができるでしょう。